2013年4月26日金曜日

小さなことかもしれないけれど貫いたこと


直接話す機会はなかった、俺の最後の数カ月と、自分なりに貫いたこと。


昨年、祐佳に彼氏が出来た。
俺にはそれは最も大切なことではない。
しかし、昨年末に住む家が出来たこと。そして祐佳がこれから生きていく中で、人を信頼して向き合う彼ができたこと。彼に向きあうと自分から口にし、これまでと大きく自分から変わったこと。
彼も祐佳に何かあった時、必ず彼は祐佳に必死になる。俺は、彼の存在に感謝しかない。


彼は、離婚までして祐佳と付き合った。病気や余命宣告のことを知ったうえで。
その離婚は一般的によいことではないかもしれない。しかし、それが祐佳にとってはベストでもある。
何故ならば、祐佳は子供がうめない。彼には既に子供がいた。人は普通、結婚して子供を生みたいと思う。
これまで、人から好かれても、恋愛なんて諦めていた祐佳がいた。子供もうめないしどうせ死ぬから、と。自分の人生は必ず迷惑をかけると。しかし今、人と向き合っている。重要なのは、恋愛したことではない。脳の病気、子供がうめない体、そして白血病であることを含めて彼に話し、そのうえで彼と向き合うということをしっかりと始めた。


まだ俺が君と会っていた昨年の夏に、祐佳は彼と出会い彼氏になりかけていた。
しかし、君にはちゃんと言えなかった。離婚をしてまでの関係や状況を話せなかった。厳密には夏の時点では、離婚が成立していなかった。いつかの『あの子がいなければいいのに』と言われた言葉に、二人がまだ先の見えない付き合いをし始めた中、俺にはきちんと話せなかった。それは、そうやっていう台詞も理解できるからこそ話せなかった。
彼らに家がなく、車生活をしていた。離婚することはお金も奪っていく。焼き肉屋を営んでいる彼は、元々は二階に家があり、当然、住めなくなった。家財一式持たずに家を出た。仕事を手伝ってもらっていた嫁にも手伝ってもらえない。もちろん、過去のストーカー問題や他の病気によってお金のない、莫大な手術費用を稼ぎ支払う生活の祐佳には、家がなかった。
彼は必死な毎日を送り、祐佳と車で生活していた。残暑の厳しい日々、祐佳は治療で体力を消耗させ、時々、シャワーと洗濯だけは助けて欲しいと頼まれた。だから俺の家では、祐佳や彼氏の服を洗濯していた。
白血病治療による体力の消耗が日によって激しい。ストーカー被害によって子宮をとった体は、出血は絶えない。生理用品やオムツが必要。ほとんど来ることはない。ただ家のトイレには、常にそれがあり君を苦しめた。その他の荷物も含め、全てが苦しめた。彼に渡してもその時はまだ、置く場所がなかった。激痛や治療による体力の消耗に体が耐えきれないこともある。祐佳は彼氏から時々、俺の家に泊まって欲しいと言われてた。その殆どは、彼の目から見て体力の限界であると分かっている時に。
まだ、白血病の大きな手術をして間もないということだけは知っていた俺はもう、まだ激しく続く体調の変化に、どうすればいいのか分からなかった。でも、言えなかった。


『離婚までさせて付き合うなんて最低』と心の中だけでも思ってほしくもなかったし、『祐佳に彼氏が出来て、私にとっては良かった』とも思って欲しくなかった。
人ならば、心のどこかで、必ずそう考える。恋愛とは難しく、恋愛感情があれば、俺ならばきっとそういう気持ちは心のどこかにもってしまう。
だから俺は、『あのこなんていなければいいのに』とまで言わせた状況の君に、それ以上は話す勇気がなかった。俺に対し、当時、好きだと言ってくれる君に、そう思わせる自分の環境と自分自身が嫌で耐えきれなかった。嘘をつきバレることのほうが楽だった。それは自分の弱さでしかない。それでも、バレて怒る自分の方が楽だった。もう既に自分の限界を越えていた。自分が君に頼りたくても、先が見えないことに、付き合っていく先が見えなかった。


離婚した環境は、焼き肉屋の客からも言われる。それがお互いを不安定にさせ、二人の仲も安定しなかった。彼は酒癖の悪い部分があり、暴力を振るってしまうところがあった。
祐佳の暴力に対する過去は、以前に話したとおり。酒を飲んで暴言と暴力については一切口を出さず、やはり付き合い続けるのは難しいのかと半ば諦めていた。
2月に一度、祐佳は家を出てきた、すぐに彼から祐佳へ度重なる謝罪連絡があり、俺はもう一度だけ会うべきだと祐佳に説いた。2日か3日、殆ど会話のない中、それだけを話した。祐佳にはおそらく、相当な決断だったと思う。祐佳は、彼はこのままだと全てを失って潰れる。もう一度彼を信頼しようと言い始め、一人で彼と会いに行き、ちゃんと生活をやり直し始めた。
正直、俺はそんな言葉も姿も見たことがなかったし、とてつもなく嬉しかった。
彼は私がいなければ潰れるという、自分の存在意義を彼にあてて行動する姿は、これから過ごしていく人生でとてつもなく大きな活力だと心底から思っていた。


彼は、他の全てを投げ出して付き合った。それは彼の周りからは、嫁をすてた離婚という事実が冷めた目で見られるなか、俺は多分、唯一の彼と祐佳を応援する人。だから彼は、自分では言えなかった、病気である祐佳へ厳しいことを言う俺の存在が嬉しかった。冬服もなかった彼に、俺はパーカーをプレゼントしたりもした。
二人に嬉しかったし、自分がそれまで見つけれなかった、「祐佳がこれから強く生きていくための存在になる」という一つの答えだと信じていた。


祐佳がはっきりと自分の口から、彼を信じることを口にし、ちゃんと最後に彼と向き合った。それからしばらくして、彼は酒を止めて暴力がなくなったと連絡を受けた。
もう大丈夫だと。


これが、俺の大きなの区切りだった。『恋愛感情はないが、家族のような感情はある』と言い、でも家族でもないことも分かっていた。多くの治療だけで生きる希望のない状況をどうにかしたかった。『死んだ時に、それまでに出来ることを何もしなかったら後悔する』と考えていた自分の言葉に、先の答えが何も見えなかった俺の人生を、彼の存在が救ってくれた。
死ぬまで自分をこういう環境に身を置くということ以外に、「生きる活力」を与えれる何かという活力を
見いだせる回答なんて分かりもしなかったことが、彼の存在が救ってくれた。
「彼といてあげないと彼が潰れるという、私がいてあげないといけない。だから信じる。」それが全てだった。



そして最後に。
それら全てを二人に会って、直接話した。彼には失礼かもしれないが、既に子供がいて、子供のうめない祐佳にはベストだと思うことも含めて全て。俺は、決して祐佳のせいだとは言わないが、それは君と付き合ううえで大きな問題としてもあり苦しかったと。だから、君には嘘や部屋のことで迷惑をかけ、それでもそれしかもう分からなかった自分が辛く苦しかったと。でも、二人の付き合いと祐佳の発した信じるという生きていく姿が嬉しかったと。二度と暴力をしないて欲しいと彼にお願いした。そして、君のことの沢山を話した。君には、本当に多くの迷惑をかけた。もう少し、タイミングが違えば良かったと思うことなんて山ほどあることも含めて。俺は、2月の出来事が自分の数年間の卒業だと感じたと。どうしていいかわからなかった自分は、彼に感謝していると。
それは決して逃げという思いは一切なく、ただただずっとやってきて得た前向きなことだと。死を迎えること以外に変わらない環境に覚悟していた、と。 何を話そうとも最後には、「どうせ死ぬんだから」と俺に言っていた台詞が、この数カ月による彼のおかげで変わったと。俺自身も誰かと付き合うことを諦めた自分がいたが、人と付き合っていく本当にまっさらな環境が出来たと体感していて、それは今本当に、純粋な想いであると。いつかこうやって、そう思える自分がきたら、君に言いたいと思っていた気持ちもずっとあったと。


これらが、もしものこれからがあったならば伝えたかった、ひと区切りの終わり。


俺は、君と付き合い、やり直したいと思っていたがずっと言えなかった。昨年のまだ見えない状況のときからずっと我慢していた。最後に、どこかでは祐佳の話を聞いて欲しかったし、報告したかった。でも当時は、いつかは分からないし、数年かかっても、一度、はっきりと言える自分になって、嘘をつかなくていい環境にして会いたかった。
でも、2月のそれがあっても、我慢していた。
A藤さんの言葉から、ノートのことによって会うことになり、留めていた感情は、会って止めれなかった。だから最後に、自分の気持ちを手紙に書いた。
もし会えたならば、祐佳に関することの一つの終わり、これまでと全く違う自分の環境や自分を直接話したいと思っていた。そして、彼らに会わせたいと思っていた。
ひとつ分かっているのは、こういうひと区切りと思えることが、昨秋からこんなに早く迎えることが出来ると予想だにしなかったことであるけれど、決してそれはネガティブなことでもなんでもない。


自分なりの精一杯でやってきた。最後に、祐佳と彼に、君に対する気持ちについても話せたことが、気づけばとても大切なことだった。
いろんなことがあったけれど、恋だの愛だの言うよりも、例え君がそこにいなくても話すべきことで、もしもがあれば君も一緒に、彼らにもう一度話したいと思ったこと。命や生きることを、俺自身の勝手な恋愛心で綺麗な戯言で済ましたくはなかった。君に表面的に感じる部分や思うことを伝えたのも向き合うことだと思って伝えたこと。それでも、最後に二人に直接話した、多くの君のことも含めて話した内容の全てが、自分のこれまでの人生で最も、その場にはいない君への想いももって臨んでいた、忘れもしない感覚の残る行動だった。
それは、今では君からどんなことを言われようが、自分のなかでの祐佳のひと区切りまでを突き通し、君に対しての考えと想いも貫き突き通してきた自分。君に対し早くいい人見つけろよと言ったことも含め、恋愛心と中途半端な環境を選ぶ自分よりも、辛さがあったとしても正しい考えだと信じて、その時は感情を振り切り現実を見ることを選び、突き通した自分がいる。ただ最後に、俺は俺の自分の君に対する気持ちも彼らに伝えたかった。
それは、消せなかったのではなくて、消そうとはしなかったし消すことを望んでない自分もいた。
だからもちろん、消えるわけもない気持ちだった。


今の自分は、信じられないくらいに、過去よりも自分が晴々とした真っ白な状態でいることを感じている。それは、これまでとは違い、自分自身に真っすぐな状態で恋愛をしようと思えるし、恋愛をしたいと思える。祐佳に関することで一つの大きな区切りだと思うことができたのも、それまでやってきたことに後悔はなく、だからこそ今の、これから先に思える自分がある。多くの時間を費やしたし、それによって、君に迷惑をかけようともこんな俺でも我慢したことも少なからずある。苦しいことも辛いことも沢山あった。だから、自分で閉ざすと覚悟していた気持ちを開き、最後に伝えておく気持ちくらい我慢しなくていいんじゃないかと。君からの回答が自分にとってはネガティブなものだと予想はついていても、真っすぐに伝えたいと。


理解できないことがあるということを分かってほしいと言っていた自分がいる。
だから当然、君に対してそう言った俺は、理解されないことがあるというということも理解する。
伝わらない、響かないことがあるということも理解するのも当然のこと。


最後に君の選んだ一語一句の全ては、俺への回答。
そんな存在だと言う俺でも、俺なりに、幸せにしてあげたいという中心に君を置きながら、自分をもって、やりたくてやってきて自分なりの貫き通した時間がある。それはきっと俺ができる限りのなかで得たひとつの結果。得た結果が、君の書いた言葉。


君から受けたような台詞も覚悟しながら必死でやってきた。不信感しか与えれず、覚悟してやってきた。だけど、最後はやっぱり辛かった。恋愛だけではなく、人としての過去の自分や様々な全て。書かれた全てに辛かった。その、自分の存在はマイナスだと記された言葉は、二度と、自分がそういう存在だと言わせることをしたくない、と思うとともに、一番近くで見てくれた存在の人からのその言葉は、一番苦しませた相手であることも分かっていても、その人からの言葉は、人として最後に必ずそうならない一心で過ごし、今までやってきた自分が破壊された気がした。


それでも突き通さなかったら、今もこれからもなかった。
突き通したから、過去も堂々と言えるこれからがある。過去も今もこれからも、気持ちも全て、それを誰に対しても。
君に対して伝える気持ちが最も大切であることは、届くことがなくとも、響くことがなくとも、俺にとっては当然のこと。
それは男としての、大切な人だと書いてきた相手への、俺自身にとって大切なこと。
君の返事を受けて、俺自身がその時どう感じてどう思おうが、それでも、そうやって人生で一度は言える、言われる相手は楽だなと、最後に思ってる自分がいる。


君にとっては、腹立たしいことかもしれないが、今の自分の環境だからこそ出来たことがある。
それはY野とS井、二人に全てを話せたこと。
自分の気持ちだけでなく、事実を正直に話した。
特にS井へは、それを正直に話せたことは、過去の自分を恥じたり照れくささもなく、君が好きだったし、付き合ったし、今でも好きだということを話したことが、今までと違う自分の環境であると実感している自分がある。君と俺の関係を助けて欲しいからとかではなく、ただ自分の気持ちを素直に言える自分がある。君とのこれまでや今のことだけでなく、自分の仕事や考えも含め、色々なことを話したけれど、それでも「俺の中で、女性ということだけを見ると、その存在や気持ちの一番は、君である」ということを、彼女でなかろうが、このまま終わりだろうが話す自分がいる。
それは、堂々と真っすぐでいて気持ちがいいものでしかない。


君の返事で、君とは終わったと思っている部分はもちろんある。
でも何か、「失恋」という感覚とは違う感覚をもつ自分がいる。
君を幸せにしたいと思う自分がいると彼らに言う自分がいて、そのままの自分がいる。


今更どうでもいい、小さな小さなことで、俺の自分勝手な貫いたことかもしれないけれど、それでも俺の中では、最後の数カ月間を過ごし、ひと区切りと思った時点の最後に自分の気持ちを祐佳と彼に伝えるという、自分の気持ちを貫き、自分なりに突き通した行動。


君には小さなことかもしれないけれど、それでも俺には大きな大きな、貫いた大切な君への気持ち。
だからもちろん、今はまだ君のことを考えてる。

0 件のコメント:

コメントを投稿